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インドア (BOX) ラクロスの歴史

1 インドア (BOX) ラクロスとは

ラクロスとは、1630年に北米大陸の聖ローレンス渓谷 (現在のカナダ) で先住民族が行う神聖な競技をフランス人宣教師が観戦し、現在のスティックを宣教師が持つ杖に似ていると言う事からフランス語で「ラ クロス = ラクロス」と名付けたのが始まりとされています。
1860年代に近代ラクロスの父とされているカナダの歯科医師ウィリアム ビアーズ先生がスティックを作り直し、ボールをゴム製に変え、新しいルール等を制定して協会を立ち上げました。その努力の甲斐もあってラクロスは1860年にカナダの国技になる程急速に発展し、アメリカやヨーロッパに広がり現在に至っています。
 

フィールドラクロス

 
インドア (BOX) ラクロス (以降 BOXラクロス) とはフィールドではなく文字通り屋内でプレーするラクロスでカナダの国技にもなっています。
BOX ラクロスは伝統的にアイスホッケーのリンクで行われ、リンクの氷は取り除かれるかシートでカバーします。競技エリアは BOX と呼ばれているので BOX ラクロスの由来となっています。競技エリアの違いもあるのでルール等はフィールドのラクロスと多少異なります。
 

インドアBOXラクロス
 

BOXラクロスの最高峰は、NLL ナショナルラクロスリーグ (プロ)・BOXラクロスリーグ (セミプロ)・カナディアンラクロス協会のシニアA部門 (セミプロ)・ウェスタンラクロス協会 (セミプロ)・メジャーシリーズラクロス (セミプロ)。
 
BOXラクロス、又の呼び名として BOXLA、BOXあるいは INDOOR LACROSSEの起源は1930年代のカナダにあります。ラクロスプレーヤーであったパディ ブレナンとモントリオールのレフリーが試合中にボールがフィールド外に出るたびに試合が中断される事に苛立ち1920年代にロイヤル山アリーナで試した事が最初と言われています。 
 
モントリオールのナショナルホッケーリーグ モントリオールカナディアンズのオーナーであったジョゼフ・カタリニチとレオ・ダンデュランがアイスホッケーアリーナのオーナーにこの新しいスポーツを紹介し1930年代にアイスホッケーと同様に6対6のインドア ラクロスとして夏場使わないアイスホッケーリンクで始まりました。
 

インドアBOXラクロス1930年代
 

この新しい種目はすぐに受け入れられ、カナダではフィールドラクロスより人気のスポートとなりますが、元々のフィールドラクロスプレーヤーからは拒絶されていました。

2 BOXラクロスの発展

1931年夏、アリーナのオーナー達は国際ラクロスリーグ (International Lacrosse League) を設立し最初のプロによるBOXラクロスの試合が4チーム間で行われますが2シーズンしか続きませんでした。しかしこのリーグをきっかけにアメリカンBOXラクロスが6チームを新設します。
 
カナダでは、BOXラクロスは夏のスポーツとして位置付けられ1994年には正式にナショナル サマー スポーツとして認定されています。
BOXラクロスの人気がフィールドラクロスより上回っていた事もあり、カナダラクロス協会はBOXラクロスのスポンサーになり、1932年にはカナダで最も権威のあるラクロスのトロフィー"Mann Cup"をBOXラクロスのルールで行いました。その後、他の大会も順にBOXラクロスのルールが適用され、現在ではほとんどのメジャーな大会はBOXラクロスのルールで行われています。
 

BOXラクロス Mann Cupトロフィー

Mann Cup トロフィー

 

BOXラクロスがカナダで大ブレークした主な理由として、寒冷地である為天候や気候に左右されない屋内競技が好まれた・フィールドラクロスよりスピードがあり試合展開がエキサイティングであった・選手をより近くで見ることが出来るので迫力あるプレーが目の前で見れる・アイスホッケーは元々カナダの国技であったのでアイスホッケーリンクが全国に存在していたから、などが挙げれれています。
 

ナショナルラクロスリーグロゴ

 
アメリカでプロのBOXラクロスリーグが復活したのは1986年。イーグル プロBOXラクロスリーグは4チームで構成され一般的なラクロスとは異なり冬に開催されました。名称をメジャー・インドア・ラクロスリーブ (MLL) と改名して、1998年には再びナショナル・ラクロスリーグ (NLL) に変え、その年にカナダの市場に参入します。リーグ9チームの内5チームはアメリカの都市を拠点としていますがプレーヤーの3分の2はカナダ人です。
  
ちなみに、ラクロスは元々北米先住民族の神聖な儀式であり競技でもあった事からBOXラクロスは6つの先住部族 (シックスネーションズとも言う) からなるイロコイ連邦を「国」として国際大会の参加を認めている唯一の競技です。
 

イロコイBOXラクロスナショナルチーム

現在のイロコイ連邦ナショナルチーム

 

3 フィールドとBOXラクロスの違い 

フィールドラクロスは屋外で、インドア(BOX)ラクロスは屋内で行われます。主な違いを比較してみました。
 

BOXラクロスとフィールドラクロスの違い

 
一般的にラクロスは屋内と屋外両方でプレーされますが、アメリカでラクロスと言えばフィールドラクロス、カナダでラクロスと言えばインドア(BOX)ラクロスになります。
競技フィールドの大きさに違いがあるのでプレーヤーの数も変わります。ゴールのサイズにも違いがあり、至近距離からのシュートが多いBOXラクロスの場合ゴーリー (又はゴールテンダー) は重厚なプロテクターで装備されています。
 

BOXラクロスゴールテンダー

BOXラクロス ゴーリー

 
ランナーもBOXラクロス専用のグローブ、アーム&ショルダーパッド等の着用が義務付けられています。
 
BOXラクロス専用グローブ
 
 

スティックは、BOXラクロスの方がフィールドのサイズが小さいのでより細かい動きをする為にフィールドラクロスより短め(1.0〜1.2m)でコンタクトが多い分より頑丈に出来ており、ネットの形状もフィールドのものとは異ります。
ヘルメットは、BOXラクロスの場合主にアイスホッケー用を使用しています。ユニフォームもアイスホッケーのユニフォームに似ていますね。
 

BOXラクロスユニフォーム

 
フィールドラクロスは、オフェンスとディフェンスに別れていますが、BOXラクロスの場合プレーヤーは両方こなしますのでオフサイドがありません。
BOXラクロスのショットクロックは、30秒とされていますのでフィールドラクロスより多くのシュートが放たれます。多くのプロチームでは1試合で平均100シュートも放たれるそうです。
BOXラクロスは、フィールドラクロスより人数が少なく競技エリアが小さいのでコンタクトはフィールドより多く、よりハードであるとしていますので高度なボディコントロールが求められます。又、アイスホッケーの様に試合中しばし殴り合い等がおきます。これもまた、アイスホッケーに似ています。
 

BOXラクロスボディーコントロール
 
BOXラクロスハードコンタクト

 
狭いスペースの中でのプレーでゴールも小さいと言う事もあり高速で針の穴を通すコントロール等高度なスティックスキルが求められます。
 

BOXrクロススティックコントロール

 
又、アウトオフバウンズやチェイスがないので常にプレーしていますのでその為の持久力とスピードも必要とされます。BOXラクロスプレーヤーは、オフェンスとディフェンス両方をこなさなければならないのでフィールドラクロスプレーヤーよりレベルが高いと言われています。
 

インドアBOXラクロスゴーリー
 
現に、スピード、スティックスキルと全てのポジションをこなす汎用性を兼ね備えたカナダのBOXラクロスプレーヤーがアメリカのプロリーグ(フィールドラクロス) に移籍しても成功を収める選手がほとんどですが、その逆はほとんどないそうです。

4 ウィメンズBOXラクロス

BOXラクロスは男性だけの競技であって女性は主にフィールドでプレーしていました。ウィメンズBOXラクロスのレジェンドは、ジニー・カピシオーニと言うゴーリーです。
 

ジニーカピチオーニ

Ginny Capicchioni

 
彼女は、2003年に女性で初めてNNL (ナショナル・ラクロスリーグ) の男性チーム New Jersey Storm とプロ契約を結びシーズンに参戦、アメリカ生まれとして初めて Canadian Lacrosse Championship でゴーリーとしてプレーし2011年の World Indoor Lacrosse Championship で男子アメリカ代表チームの一員としてプレーして93%と言う脅威的なセーブ率を記録しています。スポーツの世界で女性が男性の代表チームの一員としてプレーするのは初めての事です。
 

ウィメンズBOXラクロス

 
女性のBOXラクロスリーグが誕生したのは近年の事です。ウィメンズBOXラクロスは現在オンタリオ、アルバーツ、ノバスコティア、とブリティッシュコロンビアでリーグが設立されています。
ルールは男性と同じ、コンタクトもルールの範囲内であれば許可されているのでランナーは女性でもヘルメットとプロテクターの着用が義務づけられて、ゴーリーも男性同様に重装備です。
 

ウィメンズBOXラクロスゴールテンダー

 
近年ウィメンズBOXラクロスへの入部希望者が増えてきているそうです。しかしある現役のプレーヤーは、「楽しそうだからと言う理由だけならやめておいた方がいい。BOXラクロスを始めると常に水、水風呂とタイガーバームを用意しなければならないから」とまで言っています。
 

ウィメンズインドアBOXラクロス

5 インドア(BOX)ラクロス世界大会

第1回目のBOXラクロス世界大会「The Nations in 1980」が開催されたのは1980年。開催地はカナダのブリティッシュコロンビアで、アメリカ、オーストラリア、カナダ西、カナダ東とイロコイ連邦の代表チームが出場しました。

 
第1回BOXラクロス世界大会
 
先住民族の代表で「国」として国際大会に参加したのはこのイロコイ連邦が歴史上初めてです。
 
イロコイナショナルズ

イロコイ連邦ナショナルチーム

 
オーストラリアでBOXラクロスが紹介されたのは1930年代。アデレート、ブリスベンやパースで試合が行われていましたが、カナダの様にフィールドラクロスより人気が上回る事はありませんでした。
 
第2回目の世界大会は正式に、World Indoor Lacrosse Championship と命名され2003年に開催。オーストラリア、カナダ、チェコ、イロコイ連邦、スコットランドとアメリカの代表チームが出場しています。
 

ワールドインドアラクロスチャンピオンシップ

 
チェコでは、ラクロスは大変人気のあるスポーツでBOXラクロスはフィールドラクロスより人気がある競技です。チェコは、ヨーロッパのベストチームとされています。
 
2015年の世界大会は、オノンダガ連邦で開催されています。オノンダガ族のホームは現在のアメリカ・ニューヨーク州オノンダガ群にあり国際スポーツ大会が先住民族の地で開催されたのはこの大会が初めてです。出場国もオーストラリア、カナダ、チェコ、アイルランド、イングランド、フィンランド、ドイツ、イロコイ連邦、イスラエル、セルビア、スイス、トルコ、アメリカと一気に13チームに増えました。
 
今まで開催された全ての世界大会でカナダが金メダル、イロコイ連邦が銀メダル、アメリカが銅メダルを獲得しています。カナダは世界大会でまだ負けた事がありません。
 

BOXラクロスカナダナショナルチーム

カナダナショナルチーム 2015

【監修: strategic global marketing 板倉 孝】
 

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参考文献 (引用)
uslaxmagazine.com/
http://america.aljazeera.co/
https://www.burnabynow.com/
https://www.timescolonist.com/
http://mblacrossehof.ca/
https://laxallstars.com/
https://www.insidelacrosse.com/
http://allsportsontheweb.com/
https://laxallstars.com/
https://en.wikipedia.org/
https://www.bluestarlacrosse.com/
https://www.barrieminorlacrosse.com/
http://www.captain-lax.com/ 
https://laxcamps.com/
https://www.ailacrosse.net/
https://www.nll.com/
http://www.lacrosseplayground.com/
 

 
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