インドア ローイングの歴史
インドアローイングとは、陸上でローイングエルゴメーター(又はローイングマシン或いは単にエルゴ)を使ってボート競漕のトレーニングを屋内で行うローイングで、ローイングエルゴメーターは漕手の漕力を測定する為に開発されたマシンですよね。今では、一般のトレーニングジムにも設置されていてオアーズのみならず一般の人もフィットネスマシンとして使用されていています。今日では、インドアローイング自体が独立したスポーツにもなっていて世界大会も開催されています。
1 ローイングエルゴメーター(エルゴ)の歴史
紀元前4世紀頃、艦隊を率いてスパルタやペルシャ帝国と戦ったアテネの海軍大将カプリアスが新人の兵士の訓練の為に作ったのが起源とされています。この頃はまだ木製のボートを海岸に設置し、実際に船に乗る前に新人の兵士達にボートを漕ぐ基礎技術やタイミングを習得させていました。原始的なやり方ですが、それなりに効果はあったそうです。
ローイングエルゴメーターの形として登場するのは19世紀半ば。1872年にWBカーティスが水力式ダンパー設計の特許をアメリカで出願しますが、まだ実際の漕ぎを正確に再現する事が出来ませんでした。
シドニーのライカートボートクラブのジョン・ハリソンが大きく重い鉄のホィールを摩擦式ブレーキとして組み込んだローイングエルゴメーターを開発します。オールを引く時にかかる力は漕手の体重に比例している事に気が付いたハリソンは、摩擦式ブレーキを漕手の体重に応じて調整出来る様にしてボートを漕ぐ力を正確に測定出来るように改良を重ねます。その精度は驚くほど正確で、その誤差は今日のモデルと比べ1%以下とされています。
この頃より大学のボート競漕大会が多く開催され始めた事もあり初心者の基礎トレーニング用又はオフシーズンのトレーニング用として大学のボート部向けのローイングエルゴメーターの製造が活発になります。
ローイングエルゴメーターは進化をし続け、1970年代にはノルウェーのエッシング・ニルソンがホィールの縁に革製の工業用ストラップを巻いた摩擦ブレーキシステムを使用した画期的はローイングエルゴメーターを開発します。
このストラップに体重をかける事で摩擦を計算出来る様に設計されていたニルソンのローイングエルゴメーターは当時入手可能な最高の精度を誇っていて、長年国際標準モデルとして採用されていました。
オーストラリアのRepco社が開発した空気抵抗型ローイングエルゴメーターが登場したのは1980年代初頭。伝統的なフライホイールデザインを採用した新しいブレーキシステムは正に画期的なエルゴでした。そのすぐ後にconcept社も新しいデザインの空気抵抗型ローイングエルゴメーターを発表します。
進化は続き、鉄の代わりにステンレススチールやアルミニウム等新しい素材を使用する事によりホィールは劇的に軽くなります。止まる事なく進化をし続けた空気抵抗式ローイングエルゴメーターは現在の主流として位置づけられています。
1982年2月、 “Charles River All Star Has-Beens” 又は “Charles River Association of Sculling Has-Beens”と言うアメリカ・マサチューセッツ州ケンブリッジの元オリンピック選手や96名からなる団体がConcept2の創業者であるドライシヒアッカー兄弟からローイングエルゴメーターの提供を受け非公式な競漕大会を行いました。この競技大会はすぐにアメリカ国内のみならず世界各国に広まり世界大会まで発展しています。インドアローイング世界大会は彼らの団体の頭文字を取って別名 “CRASH-B Sprints”としても知られています。今日のインドアローイング競技の歴史はここから始まっています。
ちなみにローイングエルゴメーターは元々ローイング用のトレーニングマシンですが、中には水上でのボート競漕を辞めインドアローイングの大会に出場する事をメインとされているインドアローワーも多数いらっしゃるそうです。
2 ローイングエルゴメーターの特徴
現在のローイングエルゴメーターの主流は、空気抵抗型、磁気抵抗型、水圧抵抗型と言われています。
各タイプにはそれぞれ利点や欠点がありますのでまずそれぞれの特長を見てみましょう。
● 水圧抵抗型エルゴとは
本体前面部に水が入ったタンクがありその中のフィンを回す事により水の抵抗を受ける。本体は木製が主流。
・利点
音が静か
ストロークがスムーズ
定期的に水を変える以外ほとんどメンテナンスがかからない
・欠点
他のタイプと比べて大きく、重い
価格的に安価とは言えない
● 空気圧抵抗型エルゴとは
本体前面にあるフライホイール内のフィンを回す事により空気抵抗を受ける。
現在最も使われているタイプで世界大会でも使用されています。
・利点
幅の広い調整範囲で水上でのストロークに近い抵抗で使用出来る
ストークがスムーズ
メンテナンスはほとんど不要
・欠点
音がうるさい
● 磁気抵抗型エルゴとは
強力な電磁石と回転するフライホイールとの間の距離を変える(渦電量ブレーキの原理)事によって機能します。抵抗値は主にコントロールパネル上で調整します。
・利点
滑らかなストロークを提供し大変静かである
幅の広い抵抗値が設定可能
空圧抵抗型や水圧抵抗型より小さい、コンパクトサイズ
ほとんどメンテナンスを必要としない
・欠点
水上でのストロークを再現しない
フライホイールのフィンは金属製
上級者には不向き
設置されているモニターは空気抵抗型より精度が落ちる
抵抗力が一定の為空圧抵抗型や水圧抵抗型の様に漕ぐ力を強くしても抵抗力が強くなることはない。
※ 主流から外れていますが、油圧抵抗型エルゴもあります。ご参考までに。
● 油圧抵抗型エルゴとは
ハンドルを引く事によりシリンダー内で抵抗を受けます。
・利点
安価である
他のタイプより小さい、コンパクトサイズ、折り畳み可
空圧抵抗型より音が静か
・欠点
スムーズなストロークが得られない
シリンダー内部のオイルの温度が上がると正確な抵抗値が得られない
定期的にメンテナンスが必要
エルゴのタイプ別としては、各種抵抗型の他に
・ストレッチャー(足を固定する所)とホイールが固定されていてシートのみが動くタイプ
・シートもストレッチャーも動くタイプ
・シートは固定されていてストレッチャーのみ前後に動くタイプ
などがあげられ、実際にボートを漕ぐ時の動きに似ているは、一番目のシートのみが動くタイプとされています。
又、水上での漕ぎをより忠実に再現する為に複数のハンドルを組み込んだ「ローイングシミュレーター」と言うタイプのエルゴもあります。
3 エルゴ競漕大会
アメリカ及びカナダの国内大会だけで毎年30件以上のインドア ローイングの競漕大会が各洲で開催されています。
ヨーロッパではやはりイギリスでは盛んで、イングランド・インドア ローイング選手権や南西イングランド・インドアローイング選手権やブリティシュ・インドアローイング選手権等多数開催されています。
アイルランド・スコットランド・ドイツ・イタリア・オランダ・フランス・ハンガリー・ポーランド・ウクライナ等ローイングが盛んな国々でインドアローイング選手権大会が行われていて、毎年 European Rowing Indoor Championship にてヨーロッパNo.1の座を競っています。
オーストラリアでは”Australian Indoor Rowing Challenge” 、ニュージーランドでは “New Zealand Indoor Rowing Championship”と言う全国大会が有名です。
日本では、公益社団法人日本ボート協会が主催する「全国マシンローイング大会」が行われており、2018年には全国19の拠点で前年比106%となる4,647名が参加されました。
主流の競漕は個人の2,000メートル。大会は性別・年齢・体重別に分けられ、参加者は10代前半の少年少女から90歳以上のローワーもいらっしゃいます。
4 インドアローイング世界大会
インドアローイングの世界大会と言えば World Indoor Rowing Championship 別名CRASH-B Sprints。
2018年度の大会では、23の国々から2,527名が参加しています。
インドアローイング競漕は会場内で一斉に行われます。事前に申請&登録しておけばインターネットを介してオンラインで参加する事も可能です。
メンズローイングスーツの詳細
ウィメンズ (レディース) ローイングスーツの詳細
高校生練習用ローイングスーツの詳細
オリジナルチームウェアの詳細
参考文献
ja.wikipedia.org/wiki/ローイングエルゴメーター
en.wikipedia.org/wiki/CRASH-B_Sprints
allrowers.com/history-of-rowing-machines.html
physicalculturestudy.com/2016/05/06/the-history-of-the-indoor-rower/
escapeswithyou.com/history-indoor-rowing-machines/
rowing-machine-review.com/history-of-the-rowing-machine/
https://www.jara.or.jp/jara/h27jigyouhoukoku.pd
worldrowing.com/indoor/
rowingmachineking.com/water-vs-air-rowing-machine-difference/
livestrong.com/article/296727-water-rower-vs-air-rower/
rowingmachine-guide.com/types.html
bestplaygear.com/magnetic-vs-air-rower/
afpafitness.com/research-articles/a-quick-and-easy-guide-to-indoor-rowing-machines
crash-b.org
rowingaustralia.com.au/about-events/airc/
indoorrowing.co.nz/page/projects/
お問い合わせはコチラ
・お見積もり
・サンプル貸出し
・カタログ請求
・リピート
・その他
お気軽にお申し付け下さい。
オリジナルTシャツやチームウェアを作成・プリントする上で、不安なことや商品・デザイン・プリント加工・お見積もり等、お気軽にご連絡下さい。親切丁寧に対応致します。